コミックマーケット88に行ってきました〔2日目:8月15日(土)〕
2日目の15日はジャンプとアニメとFCマンガと創作JUNE/BLの日。気温は33.1℃と、多少は過ごしやすかった1日目と比べて暑い日だった。
この日はゆっくり出発したものの、早朝の待機列の一般参加者が少なかったのか、10時48分に列なしで入場できた。初動は《negoto》、続いて《仙川動物園》《hanada.》《にじいろドリーム》、後はポケモンとプリパラのサークルを中心に回る。入手できなかったサークルは《periche》。巡回順序を間違えた……。次回イベントでの再販を待つ。
サークルをひと通り回った後は、企業ブースの《まんがタイムきららプラス》で企画本2冊をゲット。列がなくてサッと買えたのがよかった。しかし《一迅社》のみでし本はこの日の分が完売しててしょんぼり。2日目に回してはならなんだ……。事後通販とかしてくれないかなあ。そんなこんなで撤収は早めの12時58分。
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以下は入手した本の感想。
『puppy love』《negoto》【プリパラ】
なかよしドロレオ本。ベタベタイチャイチャする様がとにかく可愛い。そして儚げな描線が好きすぎてたまらん。この本が手に入ったので今回のコミケはいいコミケ。
『ちがういろの、ふたごぼし。』《pipit》【プリパラ】
2月オンステの既刊。男になっていくレオナに戸惑うドロシー。マージナルなキャラクターであるレオナが、ドロシーとの関係性の中で丁寧に描かれていてステキ。
『あったけぇ!』《にじいろドリーム》【ポケモン】
炎ポケモンイラスト合同誌。もふもふ系のポケモンが多くて、もふもふ好きにはたまらない一冊。中でも「道るに」さんの描くロコンが好き。もこっと存在感のある尻尾が可愛い。
『Hakoniwa 3』《uovo》【ポケモン】
5月スパコミの既刊。ホウエン地方の街を箱庭風に描いたイラスト本。描かれる街はコンパクトでいながらその街ならではの施設を押えており、また主線なし・4色制限の絵がおもちゃのような雰囲気を出していて、まさに箱庭という感じ。
『許されざるいのち その1』《怪獣使いの遺産》【ポケモン】
自らの生に悩むミュウツーがゲノセクトと出会う。アニメコミック的な描画がSFチックな二匹のポケモンにマッチしていてシリアスさがある。入手できた既刊もひと通り読んでみた限りでは、サークル主の作品傾向として、映画ポケモンなどでほぼ無条件のうちに描かれる「人間とポケモンの絆」や「ポケモンの生の尊さ」に対してアンチテーゼを打ってる感じがする。
『Rakugaki Space』《Shore》【よろず】
きらら作品中心イラスト本。どの娘もクリクリ瞳と健康的な肌が可愛い。「まんまるゆずこ頭なでたい」、めっちゃわかる。
『ROMPAPA』《薄茶》(委託:かがみびらきはじめました)【SHOW BY ROCK!!】
ソロの社会人ロムが社長にバンド新メンバーを頼んだら、やってきたのはミューモン形態の三バカで。三バカのバカっぷりとロムの常識人っぷりが子供(ミューモン)と大人(人型)の対比で加速されて、賑やかに面白可笑しい。
コミックマーケット88に行ってきました〔1日目:8月14日(金)〕
2015年の夏コミは8月14日(金)、15日(土)、16日(日)の開催。初日の14日は31.8℃と多少は過ごしやすい気温になった。ジャンル的にはゲームと小説と趣味とナマモノの日。そして例年とは異なり、評論・情報もこの日。なお、コミケ89では、評論・情報は3日目に戻る模様。
この日は《4コマ同好会》主催・たっちーさんの個人サークルである《4研》で売り子のお手伝い。『4コママンガのススメ2014年版』を頒布しました。お手に取ってくださった皆さま、ありがとうございました。書店委託は引き続き COMIC ZIN にて取り扱い中ですので、まだの方はぜひご利用ください。
開場直後はスペースで売り子。スペース出発は11時17分。初動は同じ東5の《むぃむぃらぼ》。続いて東5の評論・情報で《羊図書館》など、東2のゲームジャンルで《37》《サギリック》《pmnd》など、そして東1の艦これジャンルで《spig@》《e-Paranoia》《むらさきいろのよる》。艦これジャンルはさながらコミケ3日目の一般参加者密度で過酷だった。
その後は東館をつらつらと回る。新規開拓は豆本サークルの《蔓庵》。装丁がステキだった。スペース帰還は12時32分。入手できなかったのは《つまづかない》。時限配布のコピー本とか難易度高い。
その後は再び売り子をして、15時03分にお先に失礼。最後に企業ブースの《ぽにきゃん》と《サンリオ》で SHOW BY ROCK!! グッズを購入して、15時17分に撤収。《まんがタイムきららプラス》と《一迅社》はまだ列があったので「2日目に回そう」と決めたのだった。
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以下は入手した本の感想。
『わたしのはんぶん』《e-Paranoir》【艦これ】
大北アンソロ。主にねことりなさん目当てだったけどキ村由宇さんのマンガもステキだった。大→→→←北もいいが大→←←←北もいい、という気づきを得たのだった。
『sweet small stories』《むらさきいろのよる》【東方】
例大祭の既刊。こあパチェ総集編。こうしてまとめて読むと、こあパチェの仲良しな関係性を前提として、その関係性を丁寧に確認していく、というような作劇傾向が見える、とかなんとか。創作の方でもこれに通じるものを感じるよね、とかなんとか。
ROCKIN' SHOWER WEST に行ってきました
8月2日(日)、インテックス大阪にて開催。募集=直参100sp・委託20spに対して、実働=直参80sp・委託6sp。YOUのオンリーイベント的には十分な数が集まったって感じ。
この日は最高気温が36.4℃の猛暑日。待機列に並ぶ気力がなかったので、今回もアーリーエントリーした。7月26日のイベントでアーリーエントリーしたときにもらったプレミアムチケットでパンフYOUのプレミアム会員になっていたので、今回のイベントもタダでアーリーエントリーできた。YOUさまさまやで。
11時にアーリー入場。初動は《アストらぁめん》。続いて《リア獣さふぁりぱ~く》《オカワリジュー》《巣ごもり。》《くれまり》《JAGA☆KIDS☆RED》など。スペースの絶対数が少ないこともあって、11時25分頃には撤収できた。今回も #01 に続いて「完売ロック」なサークルがちょこちょこいた模様。自分も《mignon》のアイクロ本を読みたかったんだけど開場10分くらいで完売してて、完全に巡回順序を間違えた……って感じ。
今後の開催予定は、10月の #02、来年1月の Central、2月の WEST#02、4月の #03。行ける限りどれも行きたいですぞ。
『SHOW BY GIRLS COLLECTION!』《アストらぁめん》
オールキャラ百合本。ゲストもいっぱい。個人的にはロージア、特にロジツキがおいしい。あざとさを純朴さで無化されてカウンターされるロージアがいいんだよなあ。
『和々花乙女』《素ごもり。》
阿吽で百合。なかよしラブラブな雰囲気がステキ。阿のことが好きすぎてテンションMAXになる吽かわいすぎか。
『Hello ROCK!!』《みにりんご》
フルカラーイラスト本。女の子も男の子も美麗でステキ。ほわいとプラズマジカルの4人かわいすぎか。
『Berry Very Great!!』《JAGA☆KIDS☆RED》
アニメ最終話ライブ終了後のキングとダガーのお話。キングとダガーは実は信頼し合う盟友だった、という設定で描かれる二人がカッコいい。あり得た幕間を描いた同人然とした作品。
『すたっどの本』《くれまり》
すたっどにフェネリィが加わって4人になったばかりの時期、という設定のお話。フェネリィが既存メンバーに壁を感じて微妙な気持ちになる、その微妙な描写がステキ。こちらもあり得た過去を描いた同人然とした作品。
『FEEL SO GOOD 33』『Junction Box 6』に行ってきました
7月19日(日)、TRCにて開催。この日の東京の最高気温は34.8℃とうだるような暑い日だった。待機列の暑さに耐えられないと思ったので、この日も6月のROCKIN' SHOWERと同じくアーリーエントリーした。アーリーエントリーは、早期入場はもちろん、待機列が室内に形成されるのも嬉しいポイントだよね。
初動は《ピクトパスカル!》。続いて《ちっくたっくろっく》《にまめの木》などのいつものサークルを回り、そのうちに準備ができた《chicca》《ブタミン》《懐古ヘドニズム》を回って、あとは全巡回。新規開拓したサークルでは《株式会社BHS》がステキだった。
イベント後は池袋のアニメイトで SHOW BY ROCK!! のキッチンカーを楽しんだり、東京駅ですみっコぐらしのグッズを買ったりしました。
『憧病』《懐古ヘドニズム》
にんじんはショーウインドウのお洋服に憧れる。「私には似合わない」と言いながらも心は正直に憧れへと向かうにんじんが可愛らしい。そんな憧れをリエちゃんが叶えてあげる場面が良心にあふれていてステキ。
『meshimase』《chicca》☆
化粧パフ型の本。リエさなベルリゼが朝起きてから出かけるまでの場面を描いたイラスト本。おめかしするポプ女子たちがキュートで、本の形とあいまって想像が膨らむ。
ROCKIN' SHOWER に行ってきました
実質、初の SHOW BY ROCK!! オンリーイベント。116サークル(直参115・委託1)を集めたスタジオYOUは褒められていい。
開場は11時。会場到着が10時40分と遅かったのと、天気が曇っていて不安だったのとで、今回はアーリーエントリーで入場することにした。一般入場待機列の皆様よりも先に入場できるのはステキすぎる。しかもアーリーのチケットでパンフYOUのプレミアムサービスも30日間使えるとな。今回がアーリー初体験だったんだけど、これはもう戻れないかもしれない。
開場後の初動は《3食もやしうどん》。続いて《ダッ熊カロン》《テノヒラ》《つまずかない》《★track》《37》《くるりくら》など。《くるりくら》はペーパーだけでもありがたやありがたやですよ。11時30分にはおおよそひと通り回り終えた。このころには既に完売しているサークルがちょこちょこいた。入手した本は最終的には40冊になってた。12時に撤収したころには6割から7割のサークルは完売してたり撤収してた感じ。旬ジャンルの最初のオンリーってすげー!! これは WEST も #02 も楽しみですぞ。そしてジャンル的には夏コミがめっちゃ楽しみですぞ。
キャラの傾向としてはシンガンとトラクロが二強で、次いでプラマジ、ガウガ、ドロ先。ガウガとドロ先はアニメ効果がないはずなのにそこそこの規模があって、妙な熱量を感じた。徒然やクリクリが少なかったのはスタジオYOUのイベントだからか。3週間後のSDFのSB69オンリーにはどうなりますかな。
『シアクロ is 聖域』《つまずかない》
「クロウちゃんのミルクは美味しいにゃー!!」で始まるシアクロ。出オチから結末までグダグダかつ妙にテンション高く走り続ける様が面白可笑しい。
『パジャマでオジャマ』《純愛ist》
アニメのプラマジとシンガンがパジャマパーティー。ナイショの恋愛相談タイムで広がる同じ楽器同士のカプに胸キュンする。ノマカプもっと増えて。
『嵐のち飴、のちハレ』《3lanes》
嵐×キャンラパ。マイナーカプと侮るなかれ。マンガの巧さに支えられたシリアスなストーリーは秀逸のひとこと。特に百年後の結末がニクすぎる。
『生涯ROCK 2Beat!』《5392》
オールキャラ本。ほんわかしたお話にほっこりする。非公式擬人化ムツミ、ラベンダー畑でゴロゴロするキンタ、そしてワンコな嵐に胸キュンした。
メイプル《3食もやしうどん》
卵型のメイプル社長が本当の卵(中身抜き)にペイントされたグッズ。手間暇かかってる手作り感がステキですぞ (・ω≦)イヤホイ
ティアズマガジン Push&Review の書き方
この記事は筆者が2013年5月に発行した同人誌『ポテ姉とP&Rの書き方』に収録した『Push&Reviewの書き方』に若干の加筆・修正を加えたものです。昨日開催された『よつばの。読書会11』で刺激を受け、公開することにしました。
1. はじめに
「Push&Review」(以下「P&R」と記します)とは、創作作品の同人誌即売会「COMITIA」のカタログ『ティアズマガジン』中のコミュニケーションコーナーであり、COMITIAで発表された本に対して参加者から寄せられた感想を紹介していくものです。筆者はCOMITIA83(2008年2月開催)からほぼ毎回、P&Rに感想文を投稿しています。最初は片手で数えられるくらいの作品数でしたが、近年は「1開催あたり10作品を投稿する」という自主的な目標を立てて投稿しています。それでもCOMITIA会場で出会う面白い本はそれ以上に多く、また開催終了から〆切までの期間が約10日と短いこともあり、全ての面白い本について投稿できないこともしばしばです。
COMITIA参加者がなぜ、どのようにP&Rを書くのかは参加者それぞれだと考えます。しかし、筆者は寡聞にして、P&R投稿者の投稿者としての語りを聞いたことがありません。同人誌の内容について語ることは楽しい営みだと考えます。それと合わせて、筆者はそのような営みそれ自体についても同好の士たちと語らいたいと思っています。本稿はそういった語らいの呼び水として、「なぜ」と「どのように」の二つの観点から、筆者のP&R投稿を語りたいと思います。
2. 「なぜ」書くのか
筆者は、「自分が読んだ素敵な同人誌を他のCOMITIA参加者と共有したい」という理由以上に、「自分が読んだ同人誌を正しく理解したい」という理由からP&Rを書いています。このスタンスはそもそも、私自身の「作品の面白さは全て理屈で説明できる」という信念に基づいています。また、私は「書きながら理解する」タイプの人間であり、P&Rはまさに書くという手段としてうってつけということもあります。
とはいえ、P&Rは他の参加者にとっては読み物です。書き上がったものがあまりにも独りよがりであることは避けたいです。書くことにより私自身が作品を理解することができ、かつ他の参加者が読み物として楽しめるようなものを目指して、私はP&Rを以下の三要素で構成しています。
- 概要 …… 作品の登場人物やあらすじを紹介します。自身および読み手の思考の焦点を絞り、続く解説の理解を助けます。
- 解説 …… 作品の理解内容を書きます。メインパートです。読み手を多少振り切ってでも、自身の理解を丁寧に書きます。
- 結び …… 作品の面白さをひとことでまとめます。振り切った読者を呼び戻しつつ、作品理解の集大成を共有します。
以上の三要素で構成することにより、私が書くP&Rは結果として「私の作品理解を他の参加者と共有するもの」になります。過去、このようにして書いたP&Rが採用されて喜びを感じていることを鑑みるに、私にはこの方法が性に合っているのだと思います。
3. 「どのように」書くのか
ここではサークル《羊図書館》の同人誌『法律擬人化入門(上三法編)』*1を例に、P&R執筆の様子をメイキングのように記してみます。少々長いですが、お付き合いください。
何はなくともパソコンのテキストエディタを開きます。まず、P&Rの掲載形式である17桁・8行に合わせて、目印となる17桁を全角数字で書きます。また、P&R本文の先頭に付加される「●」記号と、末尾に付加される都道府県名およびペンネームも書いておきます。
12345678901234567 ●(大阪府・あまいも)
ここからは同人誌を傍らに置き、それを繰り返し読みつつ、感想文を書きながら考えていきます。大抵の場合、まずは概要を書いてみることにしています。また、17桁に合わせて改行することによって、掲載時の見栄えも確認しつつ進めていきます。以下、本文の更新箇所を強調表示します。
12345678901234567 ●憲法、民法、刑法を中心とした法律 擬人化4コマ。(大阪府・あまいも)
概要はひとまずこれでよさそうと判断して、解説を書いていきます。パッと文章で書ければいいのですが、今回はまず「解説で何を言いたいか?」をメモ書きします。
- 専門用語が入っているけれど分かりやすく読める
- 法律解説のバランス感、両論併記的
- 擬人化の上手さ(容姿、言動、関係性)
メモ書きを元に、各要素を一文で書いてみます。
12345678901234567 ●憲法、民法、刑法を中心とした法律 擬人化4コマ。専門用語を織り交ぜつ つもコミカルに進む日常。中庸な法律 解説。そして各法律のイメージを容姿、 言動、関係性に巧みに落とし込んだ擬 人化。(大阪府・あまいも)
だいたいよさそうです。さて、この辺りで、自分の意図が正しく伝わる言葉を使っているかどうかを、辞書サイトを使いながら確認していきます。
- 「織り交ぜる」で正しく伝わるか
- weblio辞書によれば「ある物事の中に別のものを入れ込む」とのことです。今回は漫画の中に専門用語を入れ込んでいることが通じればいいので、大丈夫だと判断しました。
- 「イメージ」で正しく伝わるか
- 法律の施行日や内容なども擬人化に盛り込まれていますので、「特徴」という言葉も使った方がいいと判断しました。また、カタカナ語でなく漢語で意図が正しく伝わる場合は漢語を使おう、という自身のポリシーに基づき、「イメージ」は「印象」にします。
- 「落とし込む」で正しく伝わるか
- weblio辞書によれば「発想やアイデアや構想などを、具合的なフローや資料、または工程や手順などに適用すること」とのことです。自分の意図と近く、悪くは無さそうです。しかし、念のためにweblio類語辞典も調べてみたら「約束や説得(しばしば間違ってまたは大袈裟な言葉で)を通じて人に何かを誘発する」というネガティブな意味もあるようです。そこで、別の言葉に置き換えようと判断しました。ここでは単純に「描く」を使うことにしました。
確認と修正の結果、次のようになりました。
12345678901234567 ●憲法、民法、刑法を中心とした法律 擬人化4コマ。専門用語を織り交ぜつ つもコミカルに進む日常。中庸な法律 解説。そして各法律の印象と特徴を容 姿、言動、関係性で巧みに描いた擬人 化。(大阪府・あまいも)
ここから、肉づけのための確認をしていきます。
- 「中庸な法律解説」だけだと伝わりにくい
- いくつかの視点が入っているという点がこの同人誌のポイントだと考えました。「多様な視点」と書き表してみましょうか。いや、「視点」よりもいい言葉があるかもしれません。weblio類語辞書で「視点」の類義語を調べてみると、どうも「視座」という単語の方が私の意図に近い感じです。こちらの言葉を使ってみましょう。
さっそく肉づけしてみます。
12345678901234567 ●憲法、民法、刑法を中心とした法律 擬人化4コマ。専門用語を織り交ぜつ つもコミカルに進む日常。多様な視座 からの中庸な法律解説。そして各法律 の印象と特徴を容姿、言動、関係性で 巧みに描いた擬人化。 (大阪府・あまいも)
ここで文章全体を確認してみると、全ての文が体言止めになっていることに気づきます。これでは文章に品格がありません。どこかに体言止めではない文を入れたいところです。文章構成の分かれ目である概要と解説の間に文を入れるのがよさそうです。さて、どんな内容の文を入れましょうか? 後ろの三文だけ見ると「要はどういうことなのか?」が分かりづらいので、結論を先に述べてしまいましょう。「バランス」という言葉がしっくりきます。
12345678901234567 ●憲法、民法、刑法を中心とした法律 擬人化4コマ。一言で言えばバランス の妙が光る作品だろう。専門用語を織 り交ぜつつもコミカルに進む日常。多 様な視座からの中庸な法律解説。そし て各法律の印象と特徴を容姿、言動、 関係性で巧みに描いた擬人化。 (大阪府・あまいも)
再び文章全体を確認します。ここで私は「日常」という単語にひっかかります。私は4コマ漫画の解説で「日常」という言葉はよく使ってしまいがちなのですが、この文章で使うには唐突な感じが否めません。今回は単純に「4コマ」の方が伝わると考えました。
12345678901234567 ●憲法、民法、刑法を中心とした法律 擬人化4コマ。一言で言えばバランス の妙が光る作品だろう。専門用語を織 り交ぜつつもコミカルに進む4コマ。 多様な視座からの中庸な法律解説。そ して各法律の印象と特徴を容姿、言動、 関係性で巧みに描いた擬人化。 (大阪府・あまいも)
やはり文章全体を再確認します。だいたいこんなものかな、と判断して結びに移ります。今のところ、最後の三文が全て体言止めなので、結びは体言止めではない方がいいでしょう。また、結論は既に述べてしまっているので、別のことを書いて結ぶ必要があります。ふと、同人誌の表紙にあるタイトルに目が行きます。そして、タイトル中の「法律」「擬人化」という言葉は、体言止め三文の中にも登場していることに気づきます(当たり前と言えば当たり前ですが……)。そのことを書いて結んでみることにします。
12345678901234567 ●憲法、民法、刑法を中心とした法律 擬人化4コマ。一言で言えばバランス の妙が光る作品だろう。専門用語を織 り交ぜつつもコミカルに進む4コマ。 多様な視座からの中庸な法律解説。そ して各法律の印象と特徴を容姿、言動、 関係性で巧みに描いた擬人化。タイト ルの期待を裏切らない面白さである。 (大阪府・あまいも)
これでひと通り書けました。ただ、都道府県名とペンネームを入れると9行になってしまっています。本文最後の行は17桁まで埋まっているため、都道府県名とペンネームを含めて8行に収めるには、本文を10文字削る必要があります。それはちょっとキツいので、本文は8行に収まっているからまあいいやと考え、今回は全体で9行にします。とはいえ、17桁×8行ギチギチだと文字幅などの影響で本文掲載時に9行になってしまう可能性もあります。そこで、本文から1~3文字程度削ることを試みます。本文全体を眺めて、「中庸な」はちょっと言い過ぎかもしれないと考えました。ここを削ります。
12345678901234567 ●憲法、民法、刑法を中心とした法律 擬人化4コマ。一言で言えばバランス の妙が光る作品だろう。専門用語を織 り交ぜつつもコミカルに進む4コマ。 多様な視座からの法律解説。そして各 法律の印象と特徴を容姿、言動、関係 性で巧みに描いた擬人化。タイトルの 期待を裏切らない面白さである。 (大阪府・あまいも)
これで完成……としたかったのですが、まだ納得できません。声に出して読むと最後の二文で違和感を覚えます。やはり三文連続の体言止めがよろしくないのではないか? と考えました。そこで、文意はなるべく変えずに、言葉を補いつつ、体言止めを使わない文に書き換えてみます。合わせて、結論を文章の後ろに移動させます。
12345678901234567 ●憲法、民法、刑法を中心とした法律 擬人化4コマ。専門用語を織り交ぜつ つもコミカルな4コマが可笑しく、多 様な視座からの法律解説はためになる。 法律の印象と特徴を容姿、言動、関係 性で描く擬人化も巧い。バランスの妙 が生んだ、タイトルの期待を裏切らな い作品である。(大阪府・あまいも)
大改造になりましたが、都道府県名とペンネームを含めて、禁則処理も考慮して8行に収まりました。しかも声に出して読んでも文章全体として納得がいくものになりました。これで完成とします。「●」記号、改行、都道府県名、およびペンネームを削除して、COMITIAウェブサイトのP&R投稿フォームにコピペします。あとは名前、本のタイトル、サークル名などの必要事項を入力して投稿するだけです。投稿したP&Rを後から振り返られるように、投稿確認画面を自分のパソコンに保存することも忘れてはいけません。
4. おわりに
同人誌を読むという営みは楽しいものです。そして、同人誌について語らい、共有し、交流するという営みは、それにも増した楽しさがあると考えます。P&Rはまさにそういった営みとしてCOMITIA参加者をつないでいるのだと思います。また、P&Rでスペースを訪れる参加者が増えた、P&Rで創作活動を勇気づけられた、といった声をサークル参加者から頂くこともたまにあります。いかに作品理解が第一義の私でも、こういった声を頂くことは、やはり嬉しいものです。
COMITIA104のティアズマガジン巻頭には、主催・中村公彦さんのこのような言葉があります。「作品(バトン)を受け取って、読者は何を返すか。私はその答えに正解はないと思います。いや、逆に言うなら読者の数だけ答えがあると言うべきでしょうか。」――私は「返す」行為として、今後もP&Rを書いていこうと思います。そしてこの稿をここまで読んでくれたあなた! あなたも、P&R、書いてみませんか?
関西コミティア46に行ってきました
5月17日(日)、OMMビルにて開催。11時30分ちょっと前に会場前に着いたら一般入場待機列がちょっとできていた。会場内に入るといつもより参加者が多く、特にイラスト系の列では若干の滞留があった。
今回は端から端までまったりと回る。新しく知ったサークルは《草深百合》《setron》《まっすぐな道でさみしい》《おさらのうえ》《42101》。これだけ開拓できれば戦果は十分か。最後に見本誌コーナーと出張編集部をぐる見して、12時20分すぎには撤収。
『ガラ子ちゃんとスマ子ちゃん』《草深百合》
既刊。ガラケーとスマホを女の子で擬人化。ご主人様♀の昔の女アピール(?)するガラケーちゃんにスマホちゃんがライバル意識を燃やす様が可笑しい。これが三角関係百合ってやつなのか。
『Little Port Magazine vol.1』『~ vol.2』《setron》
既刊。作者がウェブにアップしている手書き新聞をまとめたもの。神戸を中心に絵と文字で綴られる記事は、地域に根差した情報と端整なデザインで、読み手に街へのロマンを想起させる。
『おむすび鳥~お品書き~』《おさらのうえ》
既刊。おむすび模様の鳥たちのイラスト本。真っ白な「しおむすび」、黒いふんどしをしてる「のり」、茶色の頭巾を被った「いなりずし」など、シンプルで可愛らしいキャラデザに胸キュン。おむすび型の本の形状にも遊び心を感じる。