すいもあまいも

即売会参加レポブログになりつつある

関西コミティア44に行ってきました

5月18日(日)。汗ばむほどの五月晴れとなったこの日、会場のOMMビル2階ABCホールは多くの人であふれていた。従来比プラス200サークルの1000サークルをこれまでと同じホールに詰め込んだのだから会場の窮屈さはあっただろうが、それにしたって一般参加者の数が今までの関西コミティアよりも明らかに多かった。参加サークル数が増えた分、サークルをお目当てにやってきた一般参加者もまた増えた、というところだろうか。加えて、一般参加者は若い人が比較的多かったように見えた。

会場到着は開場から20分ほど遅れて11:20頃。初動は《CHILD DRIVE》。続いて事前チェック済みの《超☆お兄さん》《D.M.C》《ねこたま亭》《想い出ヘリポート》《双暦》など。他にも先日の本家COMITIAでも参加されていたサークルも多々いたが、本家開催から間もないこともあって、新刊を出していたサークルはほとんど無し。事前チェック済みサークルが終わったら全巡回。関西コミティアは規模が比較的小さめなこともあって全サークルをくまなく回って新規開拓できるのが嬉しい。《おばたぬき文庫》との邂逅は万金に値する。

会場離脱後はOMMビルの地下で遅い昼食。OMMビルは飲食店が多くてバラエティにも富んでいるのが嬉しい。

入手した本の感想

風営法は踊れない』《想い出ヘリポート》

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2014年2月の既刊。風営法ちゃんがダンスのお勉強のためにクラブへ。男女で踊るダンスしか分からない風営法ちゃんが一人で踊るダンスを目の当たりにしてうろたえる姿は、昨今のダンス規制を端とした風営法の意義に関する議論を想起させる。この4月にはクラブNOON風営法訴訟に無罪判決が出たばかり。タイムリーな一冊である。

『そして先生の秘密は増える』《ねこたま帝》

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2009年の既刊。相撲教習所の生徒♂と教官♂が絡み合う手作り仕掛け漫画。ページの端に付いた取っ手を動かせばナニがアソコに出し入れされるという仕掛け。他にも読者にチャック御開帳をさせたり穴に指を入れさせたりといった遊び心に変な笑いが込み上げる。奇妙な発想を実現する奇妙な装丁が同人然とした一冊である。

『A且つB もしくは 甘い何か』《ねこたま帝》

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2013年10月の既刊。テスト万年2位の女子は1位の女子に対抗心を燃やして数学の勉強に励む。ベン図、三日月、歯型の付いた丸い菓子という図形類似性で展開される物語が、横開きから縦開きへの推移とコマ枠の撤廃によって、覚束なくも不思議な心地良さを持って伝えられる。思春期性をwhatとhowの両面で体現した作品と言えよう。

『お下品!YAMAMOTO劇場』他11冊《おばたぬき文庫》

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全て既刊。サブカルチックな怪しさの非/日常を描いた豆本たち。ちょっとした仕掛けのある本が多く、また外身にはカバーやケースがついていたりと、装丁の凝りっぷりに唸る(写真1枚目はカバーなしの、2枚目はカバー&ケースありのもの)。中でも良かったのは『お下品!YAMAMOTO劇場』(写真中段左から2冊目)。生と性を退廃的に、そして赤裸々に描く4コマの数々は、鈍い刃物のような痛々しさを持つ。「死にて―けど死にたくねーから死にて―って言ってる その感じがわからんお前はだまってろ!」は至言であろう。

『お月様の糸』他3冊《うたたねぎ工房》

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全て既刊。こちらはメルヘンなお話の豆本たち。一番好きなのは『お月様の糸』(写真右下)。月から垂れる金色の糸を、電灯の紐に、毛糸に、風船の取っ手に見立てるという、現実から空想へ軽やかに転換する感性が心地良い。金色の紐しおりを付けるという装丁もニクい。