すいもあまいも

即売会参加レポブログになりつつある

コミックマーケット87(2014年冬コミ)に行ってきました

1日目:12月28日(日)

2014年の冬コミは大晦日を回避した開催日程だった。1日目は陽が照り風も穏やかで比較的過ごしやすい日だった。

8時25分に西入り待機列の最後尾列に着き、10時14分に入館して西館へ向かった。西行きの人は少なく、朝の西館は「本当にコミケなのか?」と思うほど歩きやすかった。初動は《なすこん》、続いて《苺の塊》《Caramel Crunch》《pluvo》《taint stapler》《CUTIE KIDS CLUB》《小松姫プロジェクト》など。

10時37分には朝の西館を切り上げて東館へ向かった。東館では《BLACK FANG》《臆病者の魔法使い》《のななの》《ユース》《朝月夜》《うさもし》《さくらべりい》《chicca》などをまわり、続いてポケモンエリアを全巡回。この後は新規開拓として妖怪ウォッチエリアを全巡回した。サークルの絶対数こそ少なかったものの《ネコ肉肉飯店》《魅惑のチキルーム》との出遭いは価値あるものだった。

11時47分には東館を全てまわり終え、東1・西1間のショートカットを使って西へ向かった。再度の西館では創作少女エリアと鉄道擬人化エリアを全巡回し、13時03分に撤収。今年は企業ブースでの欲しいものはなかったので、例年と比べて早く1日目が終わった。後から人づてに聞いた話では、今年は1日目が日曜日ということもあってか、企業ブースは列が長く過酷だった模様。777枚限定のCDを手に入れた人、お疲れ様でした……。

2日目:12月29日(月)

この日は生憎の雨模様。冷たい雨粒が待機列の参加者を容赦なく襲った。スタッフ参加者からは「移動中は傘を閉じてください」のアナウンスが何回もあり、コミケにおける雨合羽の重要性を再確認させられた。

8時45分に東入り待機列の最後尾に着き、10時30分頃に入館した。初動は《つまづかない》《となりのチベくん》、続いて《Shore》《前方不注意》《ゼラチンゴハン》などの4コマ二次創作、そして《citron citron》《きゃんりゃ》《C-HOUSE》《イカプリンセス》などのゲーム系をまわる。この日は時間に余裕があったこともあり、ここからは任天堂系とスクエニ系を全巡回。スクエニ系での《追歌》《ヨリミチ。》との出遭いは価値あるものだった。13時08分には撤収。帰る頃には雨もあがっていた。

3日目:12月30日(火)

この日は1日目以上に穏やかな天気。会場で動き回っていると汗ばむくらいに温かい日だった。

開場直後は《4研》で売り子して、11時11分に出発。初動で東2の《むぃむぃらぼ》を手に入れたら、東1・西1間のショートカットを使って西1のラブライブエリアへ。事前の書店通販で予約していなかった《muze》《お店!》《まじのこのこ》《幻捜少女》などをまわる。この時点で《ココです。》《和食で肉》が既に完売していてぐぬぬ

ラブライブの後は再度ショートカットを使って東へ戻り、創作少年エリアで《W.label》《ICHIGO☆星》《すこやかペンギン》《Honey Crown》《猫が行く》《BARE FEET》《MARBLE DOG》《たまご屋》《桃園》《teracco》《いつもそ!》《CANCER.O2》など、そして男性向創作エリアで《MAPLER》《花苺》《ゆめいろごろも》《MATSUDASTYLE》など、いつも通りな感じのラインナップ。あとはチェックしたサークルをひとつずつまわる。14時30分頃に《4研》スペースに帰還し、あとは閉会までスペースでまったりしていた。

《4研》で《4コマ同好会》の『4コママンガのススメ2013年版』をお手に取ってくださった皆様、ありがとうございました。2014年版もがんばるぞい。

入手した本の感想

特記がない限りは新刊。

1日目

『2本のしっぽ物語』《ネコ肉肉飯店》【妖怪ウォッチ】

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既刊。ジバニャンとケータの出会いと別れ(?)の物語な4コマ。ひとりぼっちの寂しさと二人でいる楽しさの丁寧な描写にしんみりする。妖怪ウォッチ初心者の自分でも読みやすかった一冊。

『FUMI FUMI』《魅惑のチキルーム》【妖怪ウォッチ】

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フミちゃん主人公で日常ギャグ。エミちゃんとの胸差にツンツンしたりおじいちゃんにドキドキしたり、なにこのポニテっ子めっちゃかわいい、という気持ちになれる一冊。

『となりの正面』《朝月夜》【ポケモン

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おとなりさん、ライバル、それとも――? カルムの気持ちが気になるセレナのお話。タッグを組む隣同士の二人とマスタータワーで相対する二人という対比に、主人公の「おとなりさん」としての存在が際立つ。原作の設定とストーリーを丁寧に拾って解釈した、同人然とした一冊。

『旅するヤミラミ』《アレはアメちゃんです。》【ポケモン

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メガシンカのニュースを見たヤミラミはメガストーンを探す旅に出る。進化に憧れるヤミラミが自身の憧れの先にある想いに気づいて成長する様が沁みる。キャラクター作りが秀逸な一冊。

キン肉マンVSアベンジャーズ』《MUSCLE FACTORY》【キン肉マン

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チェロキー族の集落をマグニートー率いるミュータントが襲う。集落を守るテリーマンジェロニモ、彼らに加勢するキャプテンアメリカ、ミュータントに与するネプチューン・キング、颯爽と登場するアベンジャーズ、と登場キャラの豪華さからして大満足。超人とヒーローの作品を超えた熱いコラボに唸る。

『開業は戦争』《4S》【擬人化(鉄道一次)】

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JR 6社擬人化シリーズの最新作は北陸新幹線開業ネタ。開業までの経緯や鉄道ネタを織り交ぜつつ描かれる、JR東西のライバル関係が面白可笑しい。鉄道という業界に対する愛が詰まった一冊。

『アメリカンさんと日本航空さん 第2便』《taint stapler》【擬人化】

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AALからの提携アプローチをはぐらかしつづけてきたJALに異変が起きる。AALJAL、そしてデルタ航空の三角関係は三人の人間の関係として描かれ、社の危機は人の危機になり、その緊迫感がより生々しく描き出される。擬人化という表現技法が持つ力がまさに生かされた一冊。

『野々山女學院高等部 蟲組』《ポイズンシラユキ》【創作】

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既刊(『~2』が新刊で出ていた)。人の心に巣食う蟲を喰う「蜘蛛」なる少女・やつめ。彼女の網に、後ろ向きな少女・カズサがかかる。負の感情を露わにするキャラの表情、蟲の不気味さ、そして問題解決としての捕食を用いた物語展開があいまった、完成度の高い漫画作品。昭和モダンな雰囲気の表紙にも惹かれる。

『あいうえおばけちゃん ~たべるのだいすき~』《桜屋》【創作】

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既刊。おなかぺこぺこなおばけちゃんが、おいしいたべもので「あいうえお」。あんぱんもぐもぐ、いくらでおめかし、うどんのおふろでぽっかぽか。食べ物と戯れるおばけちゃんの幸せそうな表情にほんわかする。

『かわいくないひと。2 うんめいのかのじょ』《Poppy Seed》【創作】

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地味女子・ちひろとイケメン女子・コハクのシリーズ第二作。学園祭で主役を張ったコハクとお姫さまカフェで慣れないドレスを着たちひろ。メガネを外したちひろとは気づかず、コハクはドレス姿のちひろと出会い、そして――。コハクの唯我独尊キャラと怖ず怖ずキャラの落差が実に可笑しい。二人の力関係の変化が見ものだなー。

2日目

『Ring a Bell』《ヨリミチ。》【BDFF】☆

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既刊。「6」の世界から「0」のその後までの、リングアベルの物語。ストーリーラインを丁寧に追いながら、作中で断片的にのみ語られる過去を丹念に描き、そしてありえた未来を確固たる強度で描く。秀逸なのは、イデアとの別れ際のリングアベルの言葉と、エンディングで兜をつけずに登場するリングアベルの解釈だろう。いずれもアナゼルでありながらアナゼルでないリングアベルの悲哀、そして未来への希望がありありと描かれている。

私がBDFF本を探し始めたのはこの冬コミからにもかかわらず、いきなりこのような傑作に出会えるなんて、これはもう同人の神様がついていたとしか言いようがない。ただただ感謝。

『In My Heart』《ヨリミチ。》【BDFF

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こちらも既刊。ヴィクターとヴィクトリアの今に至る物語。導師の能力、狂気に堕ちた父、そしてヴィクトリアという希望と絶望。ヴィクターが狂気に至るまでの悲しき「ありえた過去」が、原作をシステムとシナリオの両面から踏襲しながら、強い説得力でもって展開される。二人が今際の際に見せた人間味を見事に描いた作品。

『追歌 2002-2014』《追歌》【FF】

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2014年はSFCFF6発売から20周年でもあった。そんな年に発行されたFF6作品再録集。作品の多くは登場キャラの人生にスポットを当てているように思う。中でも秀逸なのは、愛を知るティナを描く『I know, what love is』と、シャドウの死出の旅を描く『The last journey of SHADOW』だろう。求め続けていた安寧をやっと得ることができたそれぞれの姿が沁みる。

3日目

『わたしたちの青春』《ホンノキモチヤ》【ラブライブ!】☆

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神モブ三人組、ヒデコ、フミコ、ミカの物語。裏方としてμ'sを輝かせたい、そんな三人の苦悩と喜びがありありと描かれている。特にアニメ1期13話相当の場面に心震える。μ'sの中には踏み入ることができない悲しさと、どうしようもなくμ'sに惹かれてしまう感劇が、裏方としてのキャラクターを巧みに描き出している。普段スポットライトの当たらないキャラたちを見事に描いた傑作である。

『混沌のグルメV』《テンタイ→カンソク》【孤独のグルメ

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あの作品この作品に登場する飯屋をゴローちゃんが往く、総集編第五弾。収録作品の中では特にFF5のケルブの村の羊料理が面白い。羊料理の描写はもちろん、貿易商としてコルナゴの壺をじいさんに売ったり、下戸だからとウルフにルゴルの酒を手渡したりと、ゴローちゃんのキャラがFF5の世界の中で生きている。同人然としたコラボ作品である。

『よもぎ町パンタグラフ』《すこやかペンギン》【創作】

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かつてケータイコミックとして連載されていた作品が一冊に。新エネルギーを集める装置「パンタグラフ」(見た目はスプーン)がいたるところに刺さる町で、少年少女たちはパンタグラフの秘密に巻き込まれていく。これぞ、ザ・ふかさくえみ作品。SF的な道具を立てつつも現代の平凡な日常が織り交ざる物語は、今ここにいる僕たち・私たちの冒険物語、というリアリティを持って読み手に迫ってくる。現実と地続きのようで未来にいる、そんな不思議な感覚が心地良い。

『ぎじんか速報2 ふわふわニートケーキ』《梅皿テクニカー》【創作】

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お布団簀巻きで「ロールケーキごっこ」大好き、引きこもりお嬢様・ましろの日常。家政婦さんの言うことは聞かず、あてがわれた男子は困らせる、自由奔放で唯我独尊なましろが可笑しい。この作者は「動じない人」と「動じちゃう人」の関係性描写が巧みな印象がある。ところで、それぞれのキャラに「自分は○○だ」という自己認識がない(控え目に言っても、そういった描写がない)のは「ぎじんか」作品では珍しいと思った。

いちご姫の憂鬱』《日々の暮らし》【創作】

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苺と人間のハーフ・いちご姫の日常4コマ。排泄物は甘く、心は水と光を求め、体は愛する人の「花粉」を求める。作品傾向としてはしずむちゃんシリーズに近いものを感じる。作者作品からは、ある種の道徳的規範において忌避されるべき事物を生々に描き、その中に人間的ドラマを埋め込まんとする意志を感じる。創作シリーズといい、アイマスシリーズといい。

『MUFFLER』《いつもそ!》【創作】

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マフラー女子イラスト本。表紙の子からして「後ろ髪がマフラーにかかってふわっとしてる女子って最高だよな……」感がすごい。髪、肌、そしてファブリックを描く描線のやわらかさに惹かれる。あ~もふもふしたいんじゃ~。

『マホウショウジョ☆グリモワール2』《W.label》【創作】

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魔法少女イラストシリーズ第二弾は童話のキャラたちがモチーフ。美麗なイラストとコミカルな4コマのコンビが絶妙と言えよう。アリスは鍵型ステッキを手に取って水色ワンピに身を包み、巨大化薬を飲んで悪い奴を蹴散らしちゃう。作者は容姿と言動の提示によるキャラ見せが巧みだよなあ。ある意味、擬人化的キャラ見せとも言えよう。

『Puzzle×RPG 魔法使いと迷子の剣士』《Puzzle×RPG制作ギルド》【創作】

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ファンタジー風ストーリーのペンシルパズル本。マインスイーパーで見えないモンスターと戦い、数字つなぎでダンジョンを突破する。こういうちょっとした遊び心、良い。同人誌に鉛筆で書きこんだのも生まれて初めて。この同人誌はパズルを解くという経験、そして紙の上に残された黒鉛によって完成されるのだ、うんぬん。