すいもあまいも

即売会参加レポブログになりつつある

COMITIA105終了後に投稿したPush&Review

『iromonia』《R-PANDA》

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機械の体を持つ男は捨て子で盲目の少女と出会い、その美しい瞳に惹かれて彼女の願いを叶えようとする。便利だが温もりを感じられない体と生身だが障碍を持つ体の対比は人間の身体性を生々しくあぶり出す。色なき少女の世界がまさに色づくとき、愛しさと切なさが溢れてくる。

『リトル・リトルスターダスト』《おーびっと113》

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彼女が地球外生命体だと知った彼氏など、子供と宇宙がテーマの短編集。無知な存在と大きな未知の世界が絡み合って生まれる物語は空想的でいて浪漫的でもある。未知の世界を知っていく子供の姿に、思春期特有の不安感と、純粋さに対する郷愁の念を否応なく掻き立てられる。

『かえるのいし』《蛙ノ庄(頒布:ぱずる座)》

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老蛙は若い兄弟蛙を呼び寄せ、迂闊さゆえに命を落とした父母の話を聞かせ、彼らに「石になれ」と告げる。跳ね泳ぐことを捨て切れずに命を落とす兄弟蛙と、彼らを哀悼するかのように合唱する蛙たち。その姿に見える、あるべき生き様を選ぶ意志の潔さと儚さに心動かされる。

『蒼海ドロップス』《すこやかペンギン》☆

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手回しオルゴールのシートに描かれた夏の物語。ハンドルを回せば、穴によって描かれたドロップスの輝きや海中の泡が優しい音としても現れ、幼い日の夏の思い出を描いた漫画と同期して心温まる読後感を覚える。漫画と音楽が高度に融合したアートとでも言うべき傑作である。