すいもあまいも

即売会参加レポブログになりつつある

いろんな即売会に行ってきました(2014年11月)

2014年11月23日(日) - 『COMITIA110+コミティアX4』@東京ビッグサイト 東4・5・6ホール

30周年記念のこの回に、あろうことか寝坊して盛大に遅刻……。おかげで初動予定だった《negoto》の本は完売してた。しょんぼり。

この日の目玉は6サークル合同の豆本展示販売企画『豆本百貨店』。数多くの豆本が並び、イラストあり小説あり、装丁も素敵で、豆本好きにとっては天国のような空間だった。《こがりょうこ》《RAGDOLL》《オレンジ宇宙工場》《うさぎ御殿》《瓢箪堂》《蓮月堂》、全てのサークルについて豆本を購入。豆本には金目を厭うことなかれ。ブースを離れた後、受け取り忘れていた豆本があり、サークルの人がわざわざ自分を探して渡してくださったのも今ではいい思い出。ホントありがとうございました。

ペーパーラリー企画は171グラム集めた。くじ引きでティッシュをたくさんもらったよ!

『プレアデスの両脚 第一章 ―幼少期編―』《BARE FEET》

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「星の記憶」を集めるために星から星へと銀河を旅する獣人の少年たちの物語、待望の総集編。原始、純朴、そして生命力。星々の民と少年の衝突と和解の模様は、プリミティブな存在たる獣人だからこそ描き出せる気勢で満ちている。描き手の情念を感じてやまない作品である。

『幕末娘子伝 会津の八重さん』《ていお亭》

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時は幕末。会津藩の山本八重は鉄砲が大好き。今日も花嫁修業そっちのけで鉄砲の練習をしたいとダダをこねる。鉄砲大好きの域を超えて鉄砲マニアな八重のキャラが可笑しく、また幼なじみや妹分との掛け合いが楽しい。大河ドラマとは一味違った軽快な歴史解釈を楽しまれよ。

『4KOMAPARTY』連載作がこうして本にまとまったことはとても嬉しい。この3月からは『まんがタウン』での連載開始も予定されている。

『おせわにゃんこ 2』《むらさきいろのよる》

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お世話猫耳っ子とダメ飼い主の日常第二弾。実家の母から仕送りストップの電話がかかってきて大ピンチ。慣れないバイトに出た不平が猫耳っ子を傷つけたと自覚して謝る飼い主の真摯さと、落ち込んだ飼い主を励ます猫耳っ子の姿にほっこりする。可愛くて心温まる物語である。

『西島さんが我慢できない話』《ROOM#310》

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西島さんは興奮すると吸血したくなる女の子。今日も我慢できずに彼氏の大和くんに噛みついてしまう。自分に自信がないけど吸いたい彼女と、相手を大事にしたいのにシたい彼氏、双方の理性と性欲(まさに性欲!)の葛藤がグサグサくる。赤裸々な本能と感情の描写に唸る。

『はつかねずみのクレヨン』《おーびっと113》

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施設の部屋に閉じ込められたネズミの少年少女は、順に連れられては帰ってこない仲間を見て外の世界を想い描く。実験動物としての存在を想起させられる舞台設定が、閉鎖的な世界での彼/女らの行為を児戯から生存本能たらしめ、異様な現実味を帯びて読者に突きつけられる。

『虹の翼』《瓢箪堂》

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超短編を八編収録した豆本。虹の七色の紙に綴られた七編は各色に沿った話となっている。原稿用紙一枚に収まる程の超短編の連続は軽快でありつつ、ともすれば散逸してしまう各話を色で「編む」様は技巧としても遊び心としても秀逸。見た目に美しく読んで楽しい一冊である。

2014年11月24日(祝) - 『僕らのラブライブ!6』@大田区産業プラザPiO 1階大展示ホール

前回の聖地開催からPiOへカムバック。今回も盛況でまだまだジャンルの熱は冷めていない。《ヨツクロ》《幻捜少女》《しっとりオブラート》《はこにわかいろう》《アンコール62℃》《へぐり村役場》などいつものサークルを回る。自分が回っていたタイミングでは《フガーチェ》に列ができていた。

『3,2,1,0!』《しっとりオブラート》

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オシャレに疎い海未がファッションに目覚めるも空回りする様にソルゲ組の二人が手を貸すお話。鏡から一瞬目を背けるもまた見つめなおす海未の様に、自分に自身を持ったという彼女の言葉が説得力を持って伝わる。

『すうはく』《とこのまハウス》

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穂乃果への想いに揺れることりにフォーカスした、うみ→こと→ほのなお話。ミナリンスキーをことりのイチ人格と見なした物語構成は観念的でありながら情念的で、痛々しく響く。

『COMITIA111』『FEEL SO GOOD 32』『Junction Box 5』に行ってきました

2月1日(日)開催。この日は穏やかな晴天で即売会日和だった。

最初はCOMITIAから。初動は《ジャポニカ自由帳》。続いて《Happa》《BARE FEET》《すこやかペンギン》《ANCHOR》などいつものサークル。会場はとてもまわりやすく「もしかして、いつもより一般参加者が少ないんじゃないか?」と思うほどだった。

ある程度回ったところで、お隣りのスタジオYOUのイベント、音ゲー系のフィルソとJBへ。《Disharmony》《chicca》《ピクトパスカル!》などいつものサークルを回る。この日に目を引いたのはSB69サークル。前回のJBではほとんど観測されていなかったが、今回は約10サークルが参加していた。アニメ化発表もあってか一気に増えた感じ。女性向けオールジャンル以外の即売会では、このJBが受け皿になっていくのだろうか。

COMITIA会場に戻って、事前チェックしたサークルを回りきり、その後は全巡回。今回は事前チェックしたサークルが少ないこともあって、新規発掘に力を大きく咲くことができた。中でも《ダイオウイカ》との出遭いは価値あるものだった。

入手した本の感想

COMITIA111

全てP&Rに投稿済み。

マヨイガバータイム』《あぷれーと》

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夜更けの街にひっそりと開く、キノコがマスターを務めるバー。疲れた女や男やマツタケが吐き出す胸の内をマスターが静かに受け止める様にひどく安心する。非現実的なキャラの前に現実的な苦悩や悲哀すら幻想のように感じられる、妖しくも心地良い浮遊感を持つ作品である。

『魔法使いの猫 シャンテ』《ぱんぷきん堂》

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魔法使いに拾われ、使い魔として人間の姿を与えられた雌の野良猫・シャンテ。ロリコンの主人や主人当たりが強い仲間の使い魔たちとドタバタしたり、悪者たちを純真な心で追い払ったりと、シャンテの可愛さで動く物語が面白可笑しい。心に染みる清涼剤のような作品である。

アメフラシ』《ダイオウイカ》☆

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小さい頃に誘拐された幼なじみの少女と十年ぶりに再開した少年。少女は自身をアメフラシに攫われて作られた偽物だと言う。幼少時代の純朴な想いが目の前の光景に侵され遂に激情へと至る少年の姿が胸に刺さる。せめて二人が流した涙の理由が悔恨でなく安堵であらんことを。

『ビーカーくんとそのなかまたち(1)』《うえたに夫婦》

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理科の実験器具がキャラになった4コマ漫画。おなじみのビーカーやリトマス紙から、ちょっとマニアックな二又試験管や三つ口フラスコまで、それぞれの器具らしいあるあるネタがコミカルで可笑しい。実験の風景がかくも楽しく見える想像力にうらやましくなる作品である。

『花と天道虫』《JAZZ UP!!》

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季節は盆。少女・花のもとに、亡くなった幼なじみの少年が天道虫に姿を変えて訪ねてくる。よみがえる在りし日の想い出、そして変わらないお互いへの想い、その丁寧な描写が胸にしみる。少年のことを忘れないで、好きなままで生きていかんとする少女の姿に救いすら覚える。

『実は、彼氏に誤解されている』《とこのま》

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目つきが悪く悪魔と噂されてしまう少女。後輩の少年から告白されたけど、彼が好きなのはどうも噂通りの姿のようで。フラれても誤解を解かなきゃという少女と本当のあなたを知りたいという少年、双方の生真面目さが可笑しくも胸を打つ。二人の秘密につなげる結末もニクい。

『many many』《コトコトリ》

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一個、二個、三個、沢山のりんごを抱える天使。でもこのりんご、もしかしたらりんごじゃないかも? 絵本のような描線と言葉回しに、不思議なりんごの不思議さがあるがままに伝えられ、心地良い浮遊感を覚える。「りんごっぽいの」という言葉に秀逸な言語センスを感じる。

『スチロンアースは哀しきけもの』《ABXXX》

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ゲーセンに入り浸る常連三人組。一人、また一人と抜けていく仲間は、最後に残った男の目には格ゲーキャラの怪物に映る。怪物は現実の隠喩だろうか。ゲーセンという舞台装置が、モラトリアム期に特有の逃避と折合い、そしてもの哀しさを生々しく描き出してこの胸を刺す。

FEEL SO GOOD 32 / Junction Box 5

『無題』《Disharmony》

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何と、アップルパイ型の本である。内容もアップルパイのお話、包装のイラストも白雪姫リエちゃんと、遊び心に満ちたトータルデザインに唸る。

コミックマーケット87(2014年冬コミ)に行ってきました

1日目:12月28日(日)

2014年の冬コミは大晦日を回避した開催日程だった。1日目は陽が照り風も穏やかで比較的過ごしやすい日だった。

8時25分に西入り待機列の最後尾列に着き、10時14分に入館して西館へ向かった。西行きの人は少なく、朝の西館は「本当にコミケなのか?」と思うほど歩きやすかった。初動は《なすこん》、続いて《苺の塊》《Caramel Crunch》《pluvo》《taint stapler》《CUTIE KIDS CLUB》《小松姫プロジェクト》など。

10時37分には朝の西館を切り上げて東館へ向かった。東館では《BLACK FANG》《臆病者の魔法使い》《のななの》《ユース》《朝月夜》《うさもし》《さくらべりい》《chicca》などをまわり、続いてポケモンエリアを全巡回。この後は新規開拓として妖怪ウォッチエリアを全巡回した。サークルの絶対数こそ少なかったものの《ネコ肉肉飯店》《魅惑のチキルーム》との出遭いは価値あるものだった。

11時47分には東館を全てまわり終え、東1・西1間のショートカットを使って西へ向かった。再度の西館では創作少女エリアと鉄道擬人化エリアを全巡回し、13時03分に撤収。今年は企業ブースでの欲しいものはなかったので、例年と比べて早く1日目が終わった。後から人づてに聞いた話では、今年は1日目が日曜日ということもあってか、企業ブースは列が長く過酷だった模様。777枚限定のCDを手に入れた人、お疲れ様でした……。

2日目:12月29日(月)

この日は生憎の雨模様。冷たい雨粒が待機列の参加者を容赦なく襲った。スタッフ参加者からは「移動中は傘を閉じてください」のアナウンスが何回もあり、コミケにおける雨合羽の重要性を再確認させられた。

8時45分に東入り待機列の最後尾に着き、10時30分頃に入館した。初動は《つまづかない》《となりのチベくん》、続いて《Shore》《前方不注意》《ゼラチンゴハン》などの4コマ二次創作、そして《citron citron》《きゃんりゃ》《C-HOUSE》《イカプリンセス》などのゲーム系をまわる。この日は時間に余裕があったこともあり、ここからは任天堂系とスクエニ系を全巡回。スクエニ系での《追歌》《ヨリミチ。》との出遭いは価値あるものだった。13時08分には撤収。帰る頃には雨もあがっていた。

3日目:12月30日(火)

この日は1日目以上に穏やかな天気。会場で動き回っていると汗ばむくらいに温かい日だった。

開場直後は《4研》で売り子して、11時11分に出発。初動で東2の《むぃむぃらぼ》を手に入れたら、東1・西1間のショートカットを使って西1のラブライブエリアへ。事前の書店通販で予約していなかった《muze》《お店!》《まじのこのこ》《幻捜少女》などをまわる。この時点で《ココです。》《和食で肉》が既に完売していてぐぬぬ

ラブライブの後は再度ショートカットを使って東へ戻り、創作少年エリアで《W.label》《ICHIGO☆星》《すこやかペンギン》《Honey Crown》《猫が行く》《BARE FEET》《MARBLE DOG》《たまご屋》《桃園》《teracco》《いつもそ!》《CANCER.O2》など、そして男性向創作エリアで《MAPLER》《花苺》《ゆめいろごろも》《MATSUDASTYLE》など、いつも通りな感じのラインナップ。あとはチェックしたサークルをひとつずつまわる。14時30分頃に《4研》スペースに帰還し、あとは閉会までスペースでまったりしていた。

《4研》で《4コマ同好会》の『4コママンガのススメ2013年版』をお手に取ってくださった皆様、ありがとうございました。2014年版もがんばるぞい。

入手した本の感想

特記がない限りは新刊。

1日目

『2本のしっぽ物語』《ネコ肉肉飯店》【妖怪ウォッチ】

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既刊。ジバニャンとケータの出会いと別れ(?)の物語な4コマ。ひとりぼっちの寂しさと二人でいる楽しさの丁寧な描写にしんみりする。妖怪ウォッチ初心者の自分でも読みやすかった一冊。

『FUMI FUMI』《魅惑のチキルーム》【妖怪ウォッチ】

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フミちゃん主人公で日常ギャグ。エミちゃんとの胸差にツンツンしたりおじいちゃんにドキドキしたり、なにこのポニテっ子めっちゃかわいい、という気持ちになれる一冊。

『となりの正面』《朝月夜》【ポケモン

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おとなりさん、ライバル、それとも――? カルムの気持ちが気になるセレナのお話。タッグを組む隣同士の二人とマスタータワーで相対する二人という対比に、主人公の「おとなりさん」としての存在が際立つ。原作の設定とストーリーを丁寧に拾って解釈した、同人然とした一冊。

『旅するヤミラミ』《アレはアメちゃんです。》【ポケモン

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メガシンカのニュースを見たヤミラミはメガストーンを探す旅に出る。進化に憧れるヤミラミが自身の憧れの先にある想いに気づいて成長する様が沁みる。キャラクター作りが秀逸な一冊。

キン肉マンVSアベンジャーズ』《MUSCLE FACTORY》【キン肉マン

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チェロキー族の集落をマグニートー率いるミュータントが襲う。集落を守るテリーマンジェロニモ、彼らに加勢するキャプテンアメリカ、ミュータントに与するネプチューン・キング、颯爽と登場するアベンジャーズ、と登場キャラの豪華さからして大満足。超人とヒーローの作品を超えた熱いコラボに唸る。

『開業は戦争』《4S》【擬人化(鉄道一次)】

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JR 6社擬人化シリーズの最新作は北陸新幹線開業ネタ。開業までの経緯や鉄道ネタを織り交ぜつつ描かれる、JR東西のライバル関係が面白可笑しい。鉄道という業界に対する愛が詰まった一冊。

『アメリカンさんと日本航空さん 第2便』《taint stapler》【擬人化】

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AALからの提携アプローチをはぐらかしつづけてきたJALに異変が起きる。AALJAL、そしてデルタ航空の三角関係は三人の人間の関係として描かれ、社の危機は人の危機になり、その緊迫感がより生々しく描き出される。擬人化という表現技法が持つ力がまさに生かされた一冊。

『野々山女學院高等部 蟲組』《ポイズンシラユキ》【創作】

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既刊(『~2』が新刊で出ていた)。人の心に巣食う蟲を喰う「蜘蛛」なる少女・やつめ。彼女の網に、後ろ向きな少女・カズサがかかる。負の感情を露わにするキャラの表情、蟲の不気味さ、そして問題解決としての捕食を用いた物語展開があいまった、完成度の高い漫画作品。昭和モダンな雰囲気の表紙にも惹かれる。

『あいうえおばけちゃん ~たべるのだいすき~』《桜屋》【創作】

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既刊。おなかぺこぺこなおばけちゃんが、おいしいたべもので「あいうえお」。あんぱんもぐもぐ、いくらでおめかし、うどんのおふろでぽっかぽか。食べ物と戯れるおばけちゃんの幸せそうな表情にほんわかする。

『かわいくないひと。2 うんめいのかのじょ』《Poppy Seed》【創作】

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地味女子・ちひろとイケメン女子・コハクのシリーズ第二作。学園祭で主役を張ったコハクとお姫さまカフェで慣れないドレスを着たちひろ。メガネを外したちひろとは気づかず、コハクはドレス姿のちひろと出会い、そして――。コハクの唯我独尊キャラと怖ず怖ずキャラの落差が実に可笑しい。二人の力関係の変化が見ものだなー。

2日目

『Ring a Bell』《ヨリミチ。》【BDFF】☆

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既刊。「6」の世界から「0」のその後までの、リングアベルの物語。ストーリーラインを丁寧に追いながら、作中で断片的にのみ語られる過去を丹念に描き、そしてありえた未来を確固たる強度で描く。秀逸なのは、イデアとの別れ際のリングアベルの言葉と、エンディングで兜をつけずに登場するリングアベルの解釈だろう。いずれもアナゼルでありながらアナゼルでないリングアベルの悲哀、そして未来への希望がありありと描かれている。

私がBDFF本を探し始めたのはこの冬コミからにもかかわらず、いきなりこのような傑作に出会えるなんて、これはもう同人の神様がついていたとしか言いようがない。ただただ感謝。

『In My Heart』《ヨリミチ。》【BDFF

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こちらも既刊。ヴィクターとヴィクトリアの今に至る物語。導師の能力、狂気に堕ちた父、そしてヴィクトリアという希望と絶望。ヴィクターが狂気に至るまでの悲しき「ありえた過去」が、原作をシステムとシナリオの両面から踏襲しながら、強い説得力でもって展開される。二人が今際の際に見せた人間味を見事に描いた作品。

『追歌 2002-2014』《追歌》【FF】

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2014年はSFCFF6発売から20周年でもあった。そんな年に発行されたFF6作品再録集。作品の多くは登場キャラの人生にスポットを当てているように思う。中でも秀逸なのは、愛を知るティナを描く『I know, what love is』と、シャドウの死出の旅を描く『The last journey of SHADOW』だろう。求め続けていた安寧をやっと得ることができたそれぞれの姿が沁みる。

3日目

『わたしたちの青春』《ホンノキモチヤ》【ラブライブ!】☆

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神モブ三人組、ヒデコ、フミコ、ミカの物語。裏方としてμ'sを輝かせたい、そんな三人の苦悩と喜びがありありと描かれている。特にアニメ1期13話相当の場面に心震える。μ'sの中には踏み入ることができない悲しさと、どうしようもなくμ'sに惹かれてしまう感劇が、裏方としてのキャラクターを巧みに描き出している。普段スポットライトの当たらないキャラたちを見事に描いた傑作である。

『混沌のグルメV』《テンタイ→カンソク》【孤独のグルメ

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あの作品この作品に登場する飯屋をゴローちゃんが往く、総集編第五弾。収録作品の中では特にFF5のケルブの村の羊料理が面白い。羊料理の描写はもちろん、貿易商としてコルナゴの壺をじいさんに売ったり、下戸だからとウルフにルゴルの酒を手渡したりと、ゴローちゃんのキャラがFF5の世界の中で生きている。同人然としたコラボ作品である。

『よもぎ町パンタグラフ』《すこやかペンギン》【創作】

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かつてケータイコミックとして連載されていた作品が一冊に。新エネルギーを集める装置「パンタグラフ」(見た目はスプーン)がいたるところに刺さる町で、少年少女たちはパンタグラフの秘密に巻き込まれていく。これぞ、ザ・ふかさくえみ作品。SF的な道具を立てつつも現代の平凡な日常が織り交ざる物語は、今ここにいる僕たち・私たちの冒険物語、というリアリティを持って読み手に迫ってくる。現実と地続きのようで未来にいる、そんな不思議な感覚が心地良い。

『ぎじんか速報2 ふわふわニートケーキ』《梅皿テクニカー》【創作】

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お布団簀巻きで「ロールケーキごっこ」大好き、引きこもりお嬢様・ましろの日常。家政婦さんの言うことは聞かず、あてがわれた男子は困らせる、自由奔放で唯我独尊なましろが可笑しい。この作者は「動じない人」と「動じちゃう人」の関係性描写が巧みな印象がある。ところで、それぞれのキャラに「自分は○○だ」という自己認識がない(控え目に言っても、そういった描写がない)のは「ぎじんか」作品では珍しいと思った。

いちご姫の憂鬱』《日々の暮らし》【創作】

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苺と人間のハーフ・いちご姫の日常4コマ。排泄物は甘く、心は水と光を求め、体は愛する人の「花粉」を求める。作品傾向としてはしずむちゃんシリーズに近いものを感じる。作者作品からは、ある種の道徳的規範において忌避されるべき事物を生々に描き、その中に人間的ドラマを埋め込まんとする意志を感じる。創作シリーズといい、アイマスシリーズといい。

『MUFFLER』《いつもそ!》【創作】

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マフラー女子イラスト本。表紙の子からして「後ろ髪がマフラーにかかってふわっとしてる女子って最高だよな……」感がすごい。髪、肌、そしてファブリックを描く描線のやわらかさに惹かれる。あ~もふもふしたいんじゃ~。

『マホウショウジョ☆グリモワール2』《W.label》【創作】

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魔法少女イラストシリーズ第二弾は童話のキャラたちがモチーフ。美麗なイラストとコミカルな4コマのコンビが絶妙と言えよう。アリスは鍵型ステッキを手に取って水色ワンピに身を包み、巨大化薬を飲んで悪い奴を蹴散らしちゃう。作者は容姿と言動の提示によるキャラ見せが巧みだよなあ。ある意味、擬人化的キャラ見せとも言えよう。

『Puzzle×RPG 魔法使いと迷子の剣士』《Puzzle×RPG制作ギルド》【創作】

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ファンタジー風ストーリーのペンシルパズル本。マインスイーパーで見えないモンスターと戦い、数字つなぎでダンジョンを突破する。こういうちょっとした遊び心、良い。同人誌に鉛筆で書きこんだのも生まれて初めて。この同人誌はパズルを解くという経験、そして紙の上に残された黒鉛によって完成されるのだ、うんぬん。

いろんな同人誌即売会に行ってきました(9月下旬~10月中旬)

9月28日 - 『僕らのラブライブ!5』@秋葉原UDX

聖地開催ということもあってか、一般待機列形成時刻である10時30分には既に2Fオープンスペースに多くの人だかりができていた。ただ、スタッフによる最後尾の案内が後手後手になっていたようで、一般参加者は若干混乱気味だった。結局、待機列は東側デッキに2F行きと4F行きを分けて形成されることになり、自分は4F行きに並んだ。待機列ではスタッフがカタログを行商人のように売りに来ていた。

開場の拍手を聞いたのは11時55分頃で、実際に4Fに入場できたのが12時25分頃。初動は夏コミで買い逃した《muze》。続いて4Fで《はこにわかいろう》《アンコール62℃》《しっとりオブラート》などの定番どころを押さえる。本当はこの時点で2Fに移動したかったのだけど、2Fも4Fも入場規制がかかっていていつ入場できるか分からない状況だったので、引き続き4Fをぐるぐると全巡回した。

2F入場列の再形成の案内があったのは13時頃。4Fから2Fへ移動して最後尾を探す……も列形成が行われていない。どうやら、デッキに人だかりを作ってしまうとUDXの他のお客さんにご迷惑がかかってしまう、ということだったらしく、むしろ勝手に作られる列をスタッフが散らしている状況だった。いつ2Fに入れるか分からず、この日は後ろの予定も詰まっていたので、13時20分頃に泣く泣く離脱した。《へぐり村役場》《雑紙》《ヨツクロ》《幻捜少女》《うずまき茶屋》などなど、行きたいサークルは結構あったんだけどなあ……残念。イベント後の通販で《beautiful harmony》《とがりのざわ》《MATSUDASTYLE》だけは確保できたのがせめてもの救いか。

10月5日 - 『擬人化王国9』『そうさく畑収穫祭2014秋』@インテックス大阪

お昼前にまったりと開場着。《Holly harmony》《Naschkatze》に始まり、《無糖飴》《きょうもあしたも。》《羊図書館》《ブラック・クラッシャー》といつものサークルを回り、あとはまったりと全巡回。新規開拓したサークルは《Maro》。ショタショタしさにキュンとした。

10月12日 - 『関西コミティア45』@OMMビル

この日もお昼前に開場着。『超☆お兄さん』に始まり、《D.M.C》《テクノストレス》《かばやき》《星待ち》《羊図書館》《ねこたま帝》《想い出ヘリポート》などのいつものサークルを回り、あとはぷらぷらと全巡回。新規開拓したサークルは《XXX'》《ジョ・シューズ》。前者は端整な描線とちょっとエッチな百合展開に、後者はゆるやかでのどかな雰囲気に惹かれた。

10月19日 - 『FEEL SO GOOD ex.stage12』『Junction Box exTrack2』@インテックス大阪

開場の11時に到着し、10分ほど待機して入場。《ピクトパスカル!》《ALunch》《懐古ヘドニズム》《ちっくたっくろっく》《citron citron》などいつものサークルを回り、あとはつらつらと全巡回。新規開拓したサークルは《ヘルタァ・スケルター》。儚げな描線と陰鬱でシリアスなストーリーのコンボがグイグイくる。

入手した本の感想

全イベントまとめて。

『ことりノート』《muze》【僕らのラブライブ!5】☆

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ことりによるμ'sメンバーの新衣装アイデアノート、という体の同人誌。ことりが他のメンバーとわちゃわちゃしながらアイデアを形にし、それを見たメンバーがまた盛り上がる――という〈ありえた現在〉をありありと描く様は、まさに同人然とした一冊。

『タカラモノシスターズ』《しっとりオブラート》【僕らのラブライブ!5】

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雪穂と亜里沙の幼少時代。それぞれの姉妹関係がスクールアイドルへとつながっていく様に沁みる。〈ありえた過去〉を巧みに描いた一冊。

『Familia!』《とがりのざわ》【僕らのラブライブ!5】

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真姫が矢澤家のちびっ子たちの面倒を見るお話。にこまき前提でにこも真姫もお姉ちゃんするほのぼのしたお話に和む。

『SCHOOL IDOL PARADISE!』《ていおん*あたっち》【僕らのラブライブ!5】

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μ'sメンバーの何人かが男子という世界でノマカプラブライブ。男子μ'sは『ジャミューズ』と言うらしい。ノマカプならではの微妙な距離感描写がコミカルで可笑しい。

『僕らのmemorial』《beautiful harmony》【僕らのラブライブ!5】

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三年生メンバーの「思い出」をテーマに二編。幼なじみという関係や三人で一緒に過ごすことに憧れる様に心動かされる。

『TRATTORIA FERICE 2』《葵や(頒布:Holly harmony)》【擬人化王国9】☆

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擬人化パスタっ子たちのトラットリアな日常。今回は日本からあんかけ、たらこ、ナポリタンがやってきて。パスタという世界の中で、それぞれのパスタがそれぞれの特徴の容姿と言動で擬人化されている様が可愛らしい。この界隈の擬人化的想像力にはただ唸るばかり。

『星空の鼓動』《Maro》【そうさく畑収穫祭2014秋】

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病弱な少年は夜の病院の中庭で黒髪の少年と出会う。自らの生い立ちに絶望した少年が夜に出会った希望を最後の拠り所とする様が儚く切ない。閉鎖的な世界観のファンタジーがジュブナイル心をかきたてる。

『どうにもこうにもまとめ1』《お天気お兄さん(頒布:超☆お兄さん)》【関西コミティア45】☆

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可もなく不可もない学生たちの日常4コマ、待望の総集編。描き下ろしもあるよ。改めて、商業・同人どちらの世界を見ても、この清潔感のある描線と軽妙な青春劇はオンリーワンの才能だと感じる。あと、自分が購入列に並んでた時は自分以外全員女の子だった。「女性向け4コマ」のあるべき姿のひとつがここにあるんじゃないか、と真面目に思うのだった。

綺羅星の箱』《XXX'》【関西コミティア45】

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下着メーカーに勤める女性は自宅の前でシャツ一枚だけを着た従妹の少女と出会う。スキンシップの裏にある陰鬱さと後ろめたさ、そして温かさを覚えるストーリーに胸が締めつけられる。

『ベジベジン』《ジョ・シューズ》【関西コミティア45】

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野菜の着ぐるみを着た野菜っ子たちの日常4コマ。等身大の野菜さを肯定する雰囲気がのどかで和む。

クロッシングフェティシズム』《ヘルタァ・スケルター》【FEEL SO GOOD ex.stage12】☆

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布フェチなトアがうさぬこの衣装を作ることに。「僕は 布に 恋している」と、トアが狂気にも似たフェチズムを独白し、そのこだわりで見事な衣装を作り上げる様に引き込まれる。黒地に白文字の独白シーンが狂気をよりいっそう狂気たらしめていてグイグイくる。

『近代テレビジョン革命』《懐古ヘドニズム》【FEEL SO GOOD ex.stage12】

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ほしのひとのテレビがMZDの力で地デジ対応に!? 大きな画面に高音質なスピーカーに、とツッコミ不在で盛り上がるあさきキャラたちが面白可笑しい。

『COMITIA 109』『ALL STAR 2』に行ってきました

8月31日(日)、東京ビッグサイトにて。この日は最高気温が25.7℃と、夏とは思えないほど涼しくて過ごしやすい日だった。

COMITIAは東5・6ホール。初動は《FlyingSnake》と《Naschkatze》。あとはゆっくりひとつずつ。夏コミ直後ということもあって入手済みのサークルが多く、チェックしたところがそれほど多くなかったため、割と楽な巡回だった。ただ、東6角のアダルトエリアはそれなりに列ができており、並ぶのが億劫になってしまって、チェックしていたけど結局最後まで行かなかった。もったいないことしたかな。

ひと通り回った後は、お隣り東2ホールの任天堂オンリー『ALL STAR 2』へ。収穫量は多くはなかったが、これまで知らなかったポケモンサークルに出会えたので良し。ジャンル的にはカービィ原型が盛り上がっていたようで、とあるサークルにちょっとした列ができていた。

その後はCOMITIA会場に戻って東5ホールを全巡回。《ハヒプの》が最大の拾いものだった。東4ホール側も全巡回したかったけど体力が追いつかず、入手した本を宅急便で送って泣く泣く離脱。年齢を感じずにはいられない……ぐぬぬ。とはいえ、今回はいつもより精度高く素敵本が入手できたので良しとしようか。

入手した本の感想

いずれもCOMITIA。P&Rにも投稿済み。

クロミミと強襲の雀侍』《カンテラ》☆

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犬浪人・クロミミの元を自称宿敵の雀侍・チュンスケが訪れる。幼少の頃からの因縁、よみがえる自身の過去、そして憎まれ口を叩きながらの共闘。軽妙な物語展開の中で描かれる犬雀二人のキャラクターの熱さと、耳キャラ江戸時代的世界観のロマンに唸る。

『青春生き残りゲーム 生きてて良かった総集編』《熊の有頂天》

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ヒッキー男と無職男のインドア生活マンガ、待望の総集編。中二病、全能感、そして自己嫌悪と自己愛。登場キャラのみならず作者自身までもが不安定な精神と痛々しい過去を曝け出してくる様に、妖しくも抗い難い心地良さを覚える。それでも人は生きていくのだ……!

『夏の月と花』《Naschkatze》

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耳っ娘たちの夏の夜。満月の下で咲く月下美人を求めて、ロップイヤー少女は屋敷の庭を行く。牡丹、茉莉花、そして桔梗。髪飾りの花言葉とともに描かれる、耳っ娘たちの可愛らしいキャラにほっこりし、また穏やかで風流な夜に和む。小さきものはみなうつくし。

『全体的に暗い本』《にゃんにゃんにゃん!》

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ちょっと後ろ向きな短編五編。今が全部なくなればいい、辛いことには遭いたくない、学生の頃のように友達とおしゃべりしたい。現実逃避の物語に後ろめたい安心感と切なさを覚えて胸が締めつけられる。物語と可愛らしい絵柄のギャップにも妖しい心地良さがある。

『はい 鬼ばって!! ~ばけもんや番外~』《2娘》

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節分を前にした鬼たちは豆を逃れて「ばけもんや」へと集う。浮世絵タッチの迫力ある外見ながらもどこか情けない鬼たちが目を引く。そして、それぞれに人間への愚痴を言い合いながらも、それぞれに人間の家族を優しく想う、人間味にあふれた鬼たちの姿が可笑しい。

『Flowers 3』《ノースポール.》☆

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悲しみに暮れるラブジョイさんを、まめちゃんは心配して追いかける。抱え込んでいた秘密を打ち明けたラブジョイさんがまめちゃんに信じられ受け入れられる様に、心の傷が癒えていくかのような深い安心感を覚える。純粋で誠実な二人の素敵な結末に胸が温かくなった。

ワーロックの庵結 二』《ノジラグ》☆

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居候の小説家・神崎を疎む心に名家の息子・博臣が同盟を持ちかける。そして神崎の敵意を認識した心は博臣と手を結ぶ。陰謀の影が渦巻く緊張感に満ちた物語と、その中で独り強くあらんとする心の姿に引き込まれる。作品そしてこの才能の行く先からもう目が離せない。

『この宇宙の川端さん』《ハヒプの》☆

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特売セールに意気込む奥様・川端さん、お試し無料の反重力サンダルで遥か彼方のスーパーへ飛ぶ。この先は有料、という借り元の宇宙人の制止をいわゆる鬼女的圧力で振り払い、我が道を突き進む川端さんが面白可笑しい。不思議な魅力に満ちた川端さんのキャラに唸る。

『夜明けのバルサミックムーン』《FlyingSnake》☆

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夜明けの空に浮かぶ二十七夜を見上げる少女。ふと見た隣家のベランダには不思議な少年がたたずんでいた。特別な時間を一緒に過ごした特別な人、と少女が少年に想いを寄せていく様が可愛らしい。純粋でいてどこか夢見がちな空気に満ちた恋模様に胸がキュンとなる。

『マーブルアニマルズ その(10) the Blue Birds』《MARBLE DOG》☆

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大空を羽ばたく者たちの道しるべとなる鳥集団・ブルーバーズ。熱血な隼から気高き白鳥まで個性派揃いで、お茶目なところもどこか憎めない。ある時は迷う渡り鳥を導き、またある時は巣立つ若き鳥を見送る。その父や母のように大きく、そして誇り高い姿が胸を打つ。

『えのぐのすーとぬりえの国』《モトネコ屋》

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えのぐのすーは色の王国に住む女の子。真っ白な世界に色を塗っていたら、突然、白の王子から色塗りを禁じられてしまう。水彩絵の具によって描かれる色とりどりの世界が物語と相まって美しい。そして、彩りに憧れる王子と彼を慈しむすーの優しい物語に心温まる。

コミックマーケット86(2014年夏コミ)3日目に行ってきました

3日目である8月17日(日)は男性向創作、ギャルゲー、創作少年、評論・情報の日。自分にとっては言わずもがな。最高気温は29.4℃で、また曇りの日であったためとても過ごしやすい日だった。《4研》さんのお手伝いのためサークル入場で参加した。この日のお隣りは水池亘さんの《淡く眠る猫》、さらにその隣はS治さんの《ポストモダンのポリアネス》と、昨年の冬コミの時と並びは違えど4コマ系サークル三連星再び!という形になった。

11時10分ごろまで売り子をした後に東2を出発。初動は《同人誌生活文化総合研究所》、次に東2・東1で《むぃむぃらぼ》《L.S.D》。続いて東6・東5で男性向島と創作少年島でよく行くサークルを点々と。ひと通り回ったら西1のラブライブ島へ。12時30分だか13時だったか(うろ覚え)、ともかく、自分が到着した頃にはめぼしい本はあらかた完売してしまっていた感じ。島のサークルを全部回って、あとギャルゲー系もチェックしたところをひと通り回って、西を離脱。東で残っていたサークルを回収して、14時過ぎ?(これもうろ覚え)には売り子に帰還。コミケ初売りの『4コママンガのススメ 2013年版』はちょくちょくお手に取っていただくことができた。

買い逃したのは《W.label》。完売してて見本誌を見て良いと思ったのが《muze》。どちらも再販が待ち望まれる……。

入手した本の感想

『僕にはあげるものが何もないから火に飛び込むよ』《サイジャリン》【ラブライブ

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誰からも愛される「アイドル」という存在が真に愛されたい存在からの愛を得る物語、的なにこまきシリアス。にこのアイドルとしてのスタンスを揺さぶっていく真姫の言葉ひとつひとつが刺さる。

『ふしぎなおこめ』《はこにわかいろう》【ラブライブ

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かよちんがスピリチュアルなお米を食べてちっちゃく分裂シチャッタノォー!? ちっちゃくなってもお米大好き。小動物的なかよちんが可愛い。

『まきりんぱながかわいい』《ヨツクロ》【ラブライブ

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おはようからおやすみまでまきりんぱなの日常に密着。宿題、体育、お昼休みにお家へお見舞い。普通の学生っぽさにあふれた物語のゆるやかさに安心感を覚える。

『wai!wai!wai!』《★track》【ラブライブ

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アニメ二期の小ネタで4コマ&ショート。あの場面にはこんなNGテイクが!舞台裏ではこんなことが!というノリで楽しい一冊。

『Banshee』《BLACK FANG》【ポケモン

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幼なじみのヒンバスクズモー★。時が流れ、美しく進化したミロカロスを前に、ドラミドロは己の醜さを嘆くが――。自己嫌悪で自暴自棄になるドラミドロを優しく包むミロカロスの深い愛に心打たれる。

『国立艦隊ようちえん 零-伍』《こるり屋》【艦これ

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『国立艦隊ようちえん』シリーズ再録+描き下ろし。読書会で読んで。あ~どの艦娘も可愛いんじゃ~。赤城せいせんは母性に満ちてるんじゃ~。

『赦キャラGP』《テンタイ→カンソク》【企業キャラ】

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ゆるキャラグランプリで「G」と有名ゆるキャラたちがバトルロイヤル。ゆるい造形のキャラたちが気迫のバトルを繰り広げる、というミスマッチさが面白可笑しい。

『ビキニでおそうじ』《eptave》(頒布:ヨッシー工房(新))【4コマ二次創作】

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弓長九天主催の『スーパーメイドちるみさん』プチアンソロ。トイシキや永井道紀など4コマ誌で活躍する作家も参戦。各作家とも軽快なテンポのギャグが可笑しい。

『ほしゅうのおじかん』《桃園》【創作少年】

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せんせいのお時間』セルフパロ的な。女子化のおじかんにゲストのおじかんにと、ファンには嬉しい内容では。

知財法の逆襲 ft.著作権法』《羊図書館》【創作少年】

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法律擬人化シリーズ最新作は著作権法をはじめとする知的財産関連の法律がお目見え。工業所有権関連の法律は数あれど著作権関連は著作権法ひとりぼっち、という法律の関係性が擬人化によってストンと伝わってくる感じ。「難しいことを分かりやすく伝える」手法としての漫画を正しく行使してるよなあ。

『♥*』《ゆめいろごろも》【男性向二次】

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二次創作イラスト集。きらら、ガンガン、ラブライブなど。中身のページがルーズリーフ状になっており、また1枚1枚違う色になってるのが可愛らしい。

『花に嵐2』《ABLISS》【男性向創作】

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姉に食われた弟くんが彼女と夏の海デート。初めてまともにエッチできてよかったね……おっぱいやわらかかったよね……と思ったら今度は彼女の方が姉に食われるとか!次は3Pでオネシャス。

『CRUSH JERRY 2014』《Pit&Oasis+》【男性向創作】

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夏の海のJKエッチ二編。こんなに「使える」本はこのサークルでは初めてでは! 感のある内容で大変満足いたしましたですハイ。

コミックマーケット86(2014年夏コミ)2日目に行ってきました

2日目である8月16日(土)はジャンプ、東方、ヘタリア、漫画二次、創作(少女・JUNE・BL)の日。自分にとっては創作(少女)と4コマ二次創作の日。最高気温は31.2℃と前日より低く、また太陽が雲にときどき隠れていたので過ごしやすい日だった。東入り東行き、待機列8時頃到着の一般で参加した。この時間だと待機列形成は臨時駐車場になっていた。

入場は10時30分ごろ。初動は《beautiful dreamer》。続いて創作少女島をぐるりと全巡回。《ぽこぺん、ぽこぺん》《しおさいと》《Caramel Crunch》《ぴよぷー本舗》《マヌライフ》などのいつも行くサークルを押さえつつ、いつも行っているけど事前のチェックから漏れていた《どーる・HONOKA》《Naschkatze》《ノースポール.》《あずき》を確保。これだけ漏らしてると次回のために事後チェックした方がいいんじゃないかという気分になる。その後は西の4コマ二次創作島をぽつぽつ入手して、12時30分頃には撤収した。知人からは《はるかな谷から》という素敵な『信長の忍び』サークルがあることを伺ったのだけども、自分が行った頃には完売していた。次の機会があれば手に入れたい。

この日は東1⇔西1ショートカットの便利さを改めて感じた。数回前のコミケから使われてるように思うけど、通行量が多いようには見えなかったし、まだ認知度は低いのかな。カタログにも記載がないようだし、館内にも案内がなかったようだし。

入手した本の感想

『つくよみ』《どーる・HONOKA》【創作少女】☆

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日本神話における月の神・「つくよみ」の日常を描いた豆本セット。箱を明けると豆本そのものと小道具の数々が目に飛び込んでくる。これら小道具は豆本の中の物語で描かれているものである。月の船を監視する「遠眼鏡」、岩場で育つ「月石」の種石、「月光」を集めてできた雫、日の神や星の神との遊戯に使用する「賽子」――つくよみの日常物語は幻想的でいてどこか軽妙な様が面白く、そして質量を伴って読み手に示される小道具が神話世界への浪漫を否応なくかき立てる。ひとつの世界観を巧みに作り上げる技と感性にぜひ触れられたし。

『kotori』《物語クラブ》【創作少女】

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樹上の巣から落ちた小鳥の物語を描いた帽子型の豆本。大きなタカに狙われる小鳥を救ったのは――。物語をひと通り読めば、表紙の帽子を「取った」ページに小鳥が描かれていることのニクさに気づくだろう。造形と物語を巧みに接続した、豆本然とした豆本である。

『ゆるさぎっしりにっぽん』《あずき》【創作少女】

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日本各地のゆるキャラを女の子(一部男の娘)で擬人化。ブロンドロングヘアーのさのまるや、りんごフードケープのアルクマなど、元キャラの容姿が可愛らしく擬人化されていて胸キュンする。多量で多種なゆるキャラは擬人化にとって格好の対象なのではなかろうか。